日本にはまだまだ知られていない
”うまいもん” ”美しいもん”がいっぱいあります。
大野尚子がご紹介致します。




 
山形に住む友人からおいしい「寒晒しそば」が食べられると誘いがあって出かけた。そのそばは日本一のさくらんぼの里、寒河江(さがえ)市にあった。山形は知る人ぞ知るそば食いどころ。隠れた名店も多い。さくらんぼの収穫は6月から始まる。

 長野の戸隠、島根の出雲、岩手のわんこそばなど全国に知られたそばは多々あるが、
そば通の間で「うまい」と評価の高いのが山形です。
 山形のそばは、本来、割り箸のように太くて固いのが特徴だが、最近は観光客など様々な人の嗜好にも応え、細めのものも登場している。
 目的のそば屋「弘庵」は大正12年建築の元酒蔵。店先ののぼりには「寒ざらしそば」の文字が。「そばの実を寒中の川に2週間ほど晒し、寒風で自然乾燥させるのです」と主人の松田弘三さん。銀行支店長だったが、そば好きが高じて平成8年に脱サラし開業した。
 こだわりのそばは歯ごたえがあり、噛むと口の中にほんのりと甘さが広がった。松田さんは俳人でもあり、好きな俳句から、そばは二八ならぬ一九そばとか。そば粉が9でつなぎが1,水は月山の湧き水。地元のそば好きが毎日のように通ってくる。
  
         

 寒河江といえばさくらんぼ。辺り一面さくらんぼ園が広がっている。その一角の「さくらんぼ会館」ではJAさがえのソフトクリーム店が大人気。山形米「はえぬき」や「紅花」入り、もちろんさくらんぼ入りもある。お米のソフトクリームは味も触覚も最高、お薦めできる。壁にはテレビキャスターの筑紫哲也さんやおしんの小林綾子さんら大勢の著名人の色紙。人気ぶりがうかがえます。
 もうひとつ山形の味といえば漬物。山形市内の老舗「丸八新関本店」を覗いてみた。常に30数種の漬物が揃う。すべて試食をしてみた。出始めたばかりの蕗のとうのほろ苦さは東北の春を感じさせてくれた。白菜やキュウリを黄色の菊で巻いて昆布で結んだ「虎の巻」には「頑張れ阪神タイガース」と書き添えられていた。もちろん1本購入した。
 宿泊は上山葉山温泉。1458年開湯の歴史ある温泉だ。ここは歌人斉藤茂吉の生誕の地で記念館もある。5月3日から上山を中心に「お城まつり」が開催されました








弘庵」の寒ざらしそば。
歯ごたえもあります
   
<メ モ>
★交 通

大阪空港〜
   山形空港1日3便


★さくらんぼ園
開園は6月1日頃から
7月10日頃まで


★米沢上杉まつり

★問い合わせ
山形県大阪事務所
06・6341・6816
平成15年4月22 サンケイスポーツ掲載








仙台名物「ずんだ餅」。
色がきれいで
ほんのりと甘い









レトロ調の観光バス
「るーぷる仙台」
チンチン電車のような
外観が人気

























山温泉の露天風呂
駒ヶ岳を眺めながら気分爽快






 

 

 





   杜の都・仙台のけやきが芽吹き始めた。青葉が美しい季節はすぐそこだ。レトロ調の観光バス「ループル仙台」が走る伊達62万石の城下町には”うまいもん”も数多い。そんな美味を求めて仙台の街を歩いてきた。 
仙台へは大阪空港(伊丹)から全日空機で1時間余り。彫像が立つけやき並木の定禅寺通りに直行した。芽吹き始めたばかりだが、ゴールデンウィークには青葉が茂り、文字通り、杜の都に。 この通りに、仙台が発祥といわれる「冷やし中華」の店がある。訪ねたのは元祖の「龍亭」。昭和12年に全国に先駆けて「涼伴麺」を開発した店という。そのときの値段は25銭。当時のラーメンが10銭だったというから、かなり高級だ。
 注文したのは醤油ダレだが、胡麻ダレ味モ人気がある。ガラスの鉢ニ冷たい麺とタレ。焼豚や錦糸卵、きゅうりなどの具は別のガラス皿に彩りよく盛られて出てきた。コレデ1200円。当時もかなり高めだが『よそとは違うぞ』という自信が表れていた。仙台に行ったら一度は味わってみたい味。

    

 「牛たん」も人気の味。脂肪が少なくヘルシーで、おまけに値段モ手ごろだ。入ったのは「伊達の牛たん本舗」の広瀬通り本店。味噌漬けやスモークなど20種類ほどの土産品が並ぶ店の奥にレストランがあった。数あるメニューの中から「牛たん定食・味噌味」を選んでみた。
 味噌焼き牛たんに薄塩の白菜漬け、とろろ、麦ご飯、テールスープが付いて1200円は安い。
しかも「うまい」。
 仙台のうまいもんベスト3の最後は「ずんだ餅」。枝豆を色良く茹でてするつぶし、砂糖と塩で味付けし餅にまぶしたものだが、色がきれいでほんのりと甘く、実に素朴だ。空港でも手に入るので、仙台で必ず買うものの1つである。
 レトロ観光バスの「りーぷる仙台」に乗ってみた。チンチン電車のような外観と木彫りの内装が人気で、土・日曜日は積み残しがでるほどとか。30分おきに仙台駅を出発。11の停留所での乗り降り自由な1日券(600円)は便利で重宝した。
1回乗車は250円。
 宿泊は仙台の奥座敷・秋保温泉へ。渓谷沿いの露天風呂は、体も心も頭までも、すっかりリラックスさせてくれた。  

平成15年4月29 サンケイスポーツ掲載




 函館に女性が押し寄せそうだ。あのGLAYのミュージアムがオープンしたし、女性に人気の土方歳三と石川啄木の記念館も完成。テディベアがいっぱい詰まった美術館もできた。今年「90歳」のレトロ電車が走る函館の街は新鮮な海の幸、山の幸の宝庫でもある。
 函館は横浜、長崎とともに日本最初の貿易港。洋風木造建築やレンガ造りの建物とともに北海道で初めて走った路面電車も健在。函館空港からまずは「土方・啄木浪漫館」へ。啄木記念館に今年4月、土方歳三記念館が加わって多くの土方ファンを集めていた。
 土方の最期の砦として知られる五稜郭は、今年築城140年。12月1日には五稜郭タワーの前に土方歳三のブロンズ像も建つ予定だ。来年のNHK大河ドラマは「新撰組」、さらに注目を集めることになりそう。
 函館出身の人気アーティストGLAYをモチーフにしたミュージアム「Art Style of GLAY」もオープンしたばかりだが、すでに若い男女でいっぱい。愛くるしテディベアに出合える「西波止場美術館」も人気が出そうだ。「カワイイッ 」の声があちこちで聞こえていた。
 夜は五稜郭を舞台にした壮大な野外劇で、スケールの大きさに圧倒された。今夏で16回目。すべて市民ボランティアで運営されている。
 宿は湯の川温泉の「湯の川観光温泉」。女性を意識して改装したというだけに心地良い時をすごすことができた。
 翌日はJR函館駅からSL函館大沼号で大沼ヘ。函館駅も6月21日に新しくなったばかり。SLにはレトロなドレスを着た客室乗務員の海老名毎さん(25)が乗車し 「ゆっくり景色を楽しんでください」 と笑顔で記念写真におさまっていた。
 42分で大沼に到着。目的は昨年4月にオープンした「流山温泉」。東大沼の森に湧き出る湯は鉄分を豊富に含んだ源泉100%、ろ過などしないかけ流しだ。
駒ヶ岳を眺めながらの開放的な露天風呂は気分爽快。足を延ばした甲斐があった。
平成15年8月12日 サンケイスポーツ掲載